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人工股関節・人工膝関節の最新知識
浅草病院人工関節センター長
東北海道病院非常勤医(2024年4月から)
望月 義人



人工股関節(THA)のインプラン
(臼蓋側)

カップ
カップは、臼蓋の骨を削って設置します。臼蓋の骨とカップを固定する方法によって2種類に大きく分けることができます。一つは骨セメントとよばれる接着剤でポリエチレンのカップ(兼ライナー)を留める方法です。もうひとつは、表面がざらざらに加工された金属製のカップを臼蓋に打ち込んで固定する方法です。スクリューでの固定を追加する時もあります。このざらざらの加工をポーラス加工といいます。ポーラス部は細かい網目状になっており、骨が増殖してその隙間に入り込んでいきます(これをBone ingrowth といいます)。

セメントカップ


セメントレスカップ
カップの断面図 ポーラスの拡大図
ポーラスに骨が入っているところ
ライナー
ライナーはカップとヘッドの間にあり、ちょうど軟骨のような役割をしている部分です。ライナーの材料にはポリエチレン、セラミック、金属と三つあります。このうちで、金属ライナーは重篤なトラブルを引き起こすことが分かってきたため、現在ではほとんど使われていません。ライナーの素材はこの20年で非常に進歩しており硬くすり減りにくくなっています。そのため人工関節がとても長持ちになったのです。また、ライナー素材が改良されたため、より薄いライナーでも長持ちさせることができます。そのため、ライナーを薄くして大きなヘッドを使えるようになっています。大きなヘッドを使用すると脱臼をしにくくなります。つまり、ライナー素材が改良されたことで、長持ちするだけでなく、脱臼もしにくくなったのです。

セラミックライナー
メタルライナー
ポリエチレンライナー
*オステオライシス
ポリエチレンや金属が摩耗すると、摩耗粉が発生します。摩耗粉に対して免疫が反応して骨融解 (osteolysis) が生じ、人工関節の弛みが生じることがあります。
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