人工関節の手術をした方は、『何でこんなに手術の値段が高いんだろう?』と思ったことは無いですか? 『病院はきっと儲かっているに違いない』と考えていませんか?
手術の値段は
THA インプラント66万円+手術手技料37万円+麻酔料6万円
TKA インプラント43万円+手術手技料37万円+麻酔料6万円
おおよそこんな値段です。すごい高額ですね。病院はさぞかし儲けているだろう・・・と思ってしまいます。 それぞれの金額がどんなものか見てみましょう。
インプラント代
人工関節そのものの値段です。この値段は国が決めた値段で、償還価格といいます。
人工関節を使うときには、インプラントを人工関節メーカーから病院が買って、病院は健康保険から支払ってもらう、という形をとります。病院が人工関節メーカーから買う値段と、健康保険から支払ってもらう値段は、一緒ではありません。
*人工関節メーカーに病院が払う値段を納入価格
*病院が健康保険から支払われる価格が償還価格
実は納入価格=償還価格ではないんです。 これは人工関節の償還価格が年々どんどん下げられているからです。(高齢化にともない、健康保険のお金が足りなくなっているからでしょうか?) 償還価格は下がっていますが、納入価格はなかなか下がりません。なぜならインプラントは、より良いものが常に開発されてきているからです。
ここ数年は、インプラント代のせいで”手術をすればするほど病院が赤字になる”ということが起こっている病院もあるようです。
手術手技料
手技料と聞くと、手術の仕事に払われているようで、それが37万円ならすごくいいお値段ですよね。ただし、この37万円の中から手術に必要な様々なものを払わなくてはいけないのです。例えば、手術の時に医者や看護師の切る特別なガウンですが、人工関節では全身覆うものを使用することが多く非常に高価です。私の病院で使用しているのは1着8000円、1回の手術で4人入ると3万2千円です。もちろん、このガウンを着るためにそれ専用のヘルメットなども必要で100万円単位します。手術台や手術部位を覆う清潔な布(紙)も、手術1回あたり2~4万円程度します。また人工関節では骨を切るためのボーンソー(電動のこぎりのようなもの)、ネジや穴をあけるためのパワーなどを使用します。
工具店で似たようなものを買えば、どんなに高価なものでも1~2万円ですが医療用は100~200万円し、レンタルで1台1万円(1回の手術で2~3台使用)ます。そしてその刃はだいたい1回使用のみで、1枚1~3万円します。 皮膚や筋肉を縫う糸は1件当たり2~3万円分したりします。その他、手術に必要なものの値段を上げだしたら、きりがありません。なんでもかんでも医療用は非常に高価なのです。
手術の値段は確かに高いですね。でもそれにはいろいろと理由があるようです。
日本の医者は『これがいい医療!』と思うと、あまり値段を考えずに、一番いい治療をしようとするものです。アメリカをはじめとした国々では、払えるお金や入っている保険で、人工関節の種類など(もしくは人工股関節ではなく人工骨頭しかだめ 等)の制限もあるようです。
医者として働くのも、病気・怪我で病院にかかるのも、日本でよかったとおもいます。
⇒ウエブサイトの方も参考にしてください
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